青森県弘前市桶屋町5グランドパレス1号館入り口
大都市と地方都市間の交通網が整備され便利になると、地方の人口や資本が大都市に吸い寄せられること。ストロー効果。
ストロー現象とは
こんな記事が読売新聞に。
開業後の課題 ストロー現象に危機感
大手企業の支店がテナントに入る青森市中心街のオフィスビル。昨夏、大手金融会社の「青森支店」の看板が取り外された。営業マンのほとんどは仙台支店に異動し、今は必要に応じて青森に出張している。
「仙台に拠点を集約すればコスト削減できる。新幹線が開通すれば、青森は日帰り出張できますからね」。営業戦略の担当者は、東北新幹線の全線開業も見越した拠点統合だったと明かした。
民間信用調査機関・東京商工リサーチ青森支店によると、全国展開する企業がこの数年、県内の拠点を仙台や盛岡市に集約し始めた。ヒトやモノ、カネがより大都市に吸い取られる「ストロー現象」。全線開業で移動時間が短縮される分、青森での拠点を閉じる企業は確実に増えつつある。
「これから青森にやって来るという話は、一部の居酒屋チェーンくらいだ。ほかは出て行く一方さ」。地元の不動産業者に、あきらめの表情さえ漂った。青森市の中心市街地の空き地・空き店舗率は昨年度、過去10年で最悪の16・8%。全線開業後の仙台―新青森駅間の移動距離は最速1時間40分で結ばれ、さらなる空洞化に危機は募る。
先月破綻(はたん)した「みどりや」も、運営するホテルの経営悪化に加えて、不動産部門で苦戦を強いられた。テナントビルで事業所の撤退が相次ぎ、破綻に追い打ちをかけた。現在は民事再生法の適用を申請し、再起を模索中。ただ、債権者の見方は厳しい。「全線開業で、今後もっと大都市に事業所が吸い取られてしまうと、再生の道のりも険しい」
流出への危機感は経済界にとどまらない。
「新幹線は北へ来るが、若者は確実に南を向く」。青森公立大の佐々木恒男学長は、開業で県内の学生が流出すると踏み、4年前から岩手、秋田県などの高校に出向いては、県外からの志願者集めに奔走している。「実際に新幹線に乗って近さを実感すれば、県外の進路希望が増えることになるのだろう」。県立青森西高校で進路指導にあたる藤原健一教諭も、佐々木学長の危機感を裏付ける。
買い物客の流出も懸念材料だ。「客が首都圏に流れる可能性がある。だからこそ、県外客をそれ以上に取り込まなければならない」。青森市のさくら野百貨店青森店は開業に合わせ、リンゴや海産物など県外客向けの特産品コーナー設置を検討し、県外からの誘客策に打って出る。
青森地域社会研究所の野里和廣・産業調査部長は、「流出は防げず、むしろ入りを増やすことが肝心」と分析し、戒めた。「サービスに磨きをかけなければ淘汰(とうた)される時代。青森は田舎だからサービスが悪くても仕方ないなどといった甘えはもう許されない」
◇
12月4日の東北新幹線全線開通まで2か月。開業機運が高まる中で、「もろ刃の剣」にもなりかねない開業後の課題を検証する。
(2010年10月4日 読売新聞)
この問題は青森に新幹線が来ると言うことでグルナビの営業マンですら深刻に話しているのも事実なのです。
逆ストロー現象を起こす起爆剤になれるようみんなで努力しなければならない。もうレールは敷かれて走り出したのだから。